作者紹介・寺田浩晃
磐田市出身の若き漫画家が、
生まれ育った街の片隅で、そっと歩き出した。
漫画を動画にするという斬新な発想で、2021年1月、YouTube上に自身の作品を初投稿。稀代のストーリーテラーとして、出版社から将来を期待されていた青年が、なぜこのような挑戦的なやり方で表現をするようになったのか。
その理由は、彼が直面した現実と、自らの作品に対する強い思いにあった。
目立つことは嫌い。
争いごとはもっと嫌い。
幼少期は教室の隅っこで、誰に見せるわけでもない絵を、ノートいっぱいに描いていた。
絵を描くこと。それだけが彼の生きがいだった。そして漫画は彼の最大の夢になり、いつの日か自分の作品が書店に並ぶことを想像し、来る日も来る日もペンを握り続けた。実際、彼の作品は少しずつ認められ、数本の短編作品が某少年誌に掲載された。
だが、そんな商業誌の中に沈んだ彼の漫画は、本来の輝きを失っていくことになる。
「君がいいもの、面白いものを描けるのはもうわかった。でも何が売れるかを全くわかってない。」
葛藤、焦燥感、怒り、
無数の負の感情に苛まれる中、
彼の体はついに限界を迎えた。
難病。
突きつけられた現実に、
目の前が真っ暗になった。
食事、服装、行動が制限され、当たり前だった日常が失われた。
だが、それと反比例するように「漫画を描きたい」という強い意思だけは、消えることなく、むしろ心の中で暴れ狂った。
「思うままに描きたい。
『商品』ではなく、『作品』を作りたい」
ペンを握っていた手を、緩めるどころか、もう一度力を込め、
彼は、白紙のノートに新たな夢を書き記した。
YouTubeチャンネル
「スタジオGARAGE」。
GARAGEという名前は、ガレージロックに着想を得て名付けられた。
シンプルなコード進行に、初期衝動を忘れないストレートな歌詞。彼の漫画はまさにそれに近く、どこか危なげな匂いを漂わせながら、力強く優しく読み手に寄り添うように語られる。ページがめくられるたびに、読者は心の中に眠っている明日を生きる優しい勇気を思い出すだろう。
彼の作品に登場する人物たちは、どこか不完全で、上手く生きていくことができない。
そういう人間にこそ、読んで欲しい。
スタジオGARAGEから発信される彼の作品には、効果音がつき、エンディングが加えられている。静止画だけでは感じとれなかった、空気感や臨場感を存分に味わい、普段漫画をあまり読まないという人も、映像作品として楽しむことができるのだ。
また、
現在、ほぼ全ての作品のエンディングに、シンガーソングライターRIOの楽曲が使われている。まさに彼の作品の中から飛び出してきたかのような彼女。繊細で力強い伸びやかな歌声が、彼の漫画を読んだ後の言葉にできない気持ちに寄り添う。読後の数分間、抱いた感情を掴んで離さないのは、彼女の歌があるからに違いない。
昨今の世界情勢により、日常生活やエンターテインメントの形は変わりつつある。
家で過ごす時間が多くなり、一人で過ごす時間が増え、人の温もりが恋しくなる夜もあるだろう。
そんなとき、
『スタジオGARAGE』
寺田浩晃が発する暖かい種火を囲んで、静かに過去を振り返ったり、
明日のことについて考えてみるのも悪くない。
寺田浩晃「0」
寺田浩晃「黒猫は泣かない。」
RIO「Mysong」
寺田浩晃(25)
2018年週刊少年サンデーSにて「モノシリ」で漫画家デビュー。 その後コンスタントに短編を発表するも、2019夏、病に倒れる。
RIO(22)
イベントハウス戸塚Newstarを拠点とし、路上からライブハウスまで、神奈川県を中心にシンガーソングライターとして活動中。
「はま音っと」より
難病と向き合いながら、ただ好きなものを、そして、自分の生きている証を残すために活動している寺田浩晃さんを同情で応援するわけではなく、彼のメッセージに共感し、浜松近郊の一人のアーティストとして、「はま音っと」は、彼を応援していきます。
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